白鯨 上 (岩波文庫 赤308-1)

白鯨 上 (岩波文庫 赤308-1) [ メルヴィル ]


★★★★

概要など

1851年に発表されたアメリカ文学の名作の上巻。とある捕鯨船の物語。白鯨とは、その捕鯨船の船長エイハブの片足をかつてかじり取った白いマッコウクジラのこと。

感想など

テレビドラマ『Xファイル』の主人公の一人であるスカリーが好きな小説ということで、昔から気になっていた。あと、アニメ『七つの海のティコ』でもこの『白鯨』についての会話があり、そこからも興味をそそられていた。
あれから約30年の時を経て(・。・;長い) やっと上巻を読んでみた。

全体的に小説という体ではあるが、はじめや途中に少しずつ出てくる、鯨マニアであろう著者による鯨にまつわる抜粋集だったり語り的だったりするような部分が、まず独特に感じられた。
冒頭に出てくる航海図や船の部位の解説図も、非常に興味深い。挿絵もいい感じ。
舞台となるニューベッドフォードやナンターケットについても、WWWで調べたりしてみた。
このおかげで、いつか旅してみたいところが増えた。
登場(搭乗)人物のスターバックがあのスターバックスの由来になっているということだけは知っていたが、今回この『白鯨』の物語を実際に読み始めたことで、今後スターバックスに行くのがより感慨深くなりそうだ。
このように、純粋な小説以外のところでも楽しめる。

書かれたのは1851年であり、これはペリー来航から2年前のことだという。この頃の日本の捕鯨のこともWWWで調べ、欧米のそれと比べたりもしてみた。このように、日本との時代的な対比やつながりを考えるのも、海外文学を読む際の楽しみの一つだろう。
書かれてから150年も経ったとは思えないほど、捕鯨や遠洋航海の技術は当時から非常に巧だったのだと感じられた。

聖書からの引用が多いのは難解に感じられたが、訳注のおかげでなんとか読み進められた。話がトントンと進まないことも多いが、時代や異国情緒や船上の雰囲気とかを感じながらのんびりと読み進めてみると、それも案外悪くない。

夏に外の空気に当たりながら読むとよいかも。海辺や船の上で読むのが最高だろうな。

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