地底旅行

地底旅行 (岩波少年文庫 618) [ ジュール・ヴェルヌ ]


★★★★

概要など

あのジュール・ヴェルヌのSF冒険小説の名作。原書は1864年に出版された。
ドイツ人のリーデンブロック教授を中心とした3人のパーティが、古文書をヒントに、地底をあり得ないくらい奥深くまで探検する話。パーティの一人でありリーデンブロック教授の甥っ子たる主人公による一人称の語りで展開される。
2018年に新たな日本語訳で出版された本。

感想など

小学生の頃、児童向けに短縮されたような版を読んだ気がする。しかしあまり記憶になかったのと、やはり通常の物を読みたくなったため、読んでみた。

科学や地理に関する造詣、そしてその頃には既に存在していたいくつかの道具の存在に、まずは驚いた。150年以上前にもこういうことができていたんだなと。
冷静に考え直せば、それは別に不思議なことじゃないだろう。でもやっぱり19世紀というとどうしても「古い」という先入観を持ってしまい、劇中にそのような科学が出てくるとついつい驚いてしまう。しかしむしろ、そのような時差を楽しめるのは、現代にあえてこの本を読む我々が持つ特権なのかもしれない。
しかし主人公の青年は様々な気持ちを文中に吐露しており、それを見ると、現代の平均的な若者とほとんど変わらないんだな、となんだか安心できた。

あと、作者のヴェルヌはフランス人だけど、登場人物はドイツ人やアイスランド人で、場所もドイツやアイスランドやデンマークが出てきたりして、ヨーロッパ内での国際性があることを初めて知った。ここは日本人が見落としがちな点かもしれない。

全体としては読んでてやや長く感じたが、時間をかけてリラックスしながら少しずつ読むというスタイルであったからか、楽しんで読むことができた。翻訳も読みやすかった。

SFなので、実際の、少なくとも当時の科学に忠実な部分と、飛躍した部分、どちらも併せ持つのは当然だろう。この飛躍した部分のぶっ飛び具合がまた良い。現代から見ると当時とはまた異なる度合いに見えるのかもしれないが。
そして科学的なところ以外にも驚愕すべきは、彼等の体力と気力だ。SF的状況により地底といえど人間が生きられる程度の環境のまま探検できているとはいえ、移動距離や様々な制約や出くわす危険を考えると、そこを探検し続ける彼等はまさに超人。もちろん危機的な状況にも何度も見舞われるが、素人を含む彼らがそこまでたどり着けるだけでも凄すぎる。まあそういう大胆な描写があるからこそ面白いんだろうが。
彼等のキャラクターには、読み進めるほど愛着が湧いてきた。

この作品の設定や展開やキャラクター像は、後世の様々なSF作品に影響を与えたのだろう。そうかもしれないと思える後世の作品は、私でもいくつか思い当たるほどだ。まさに原典かもしれない。

 

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