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本の概要
今の日本における政治に関して、基本的な仕組みや目的から、その内外にある今の問題点や、私たち市民はどうすべきかまで、一通りが分かりやすい形で説明されている。
感想など
近年、日本の政治/経済はおかしいのではないかと益々感じざるを得ない。
とはいえ、政治の仕組みや基本的な考え方をちゃんと分っていない自分がいることに気づき、これではまずいと思い、この本を読んでみた。その結果、全体の概要は理解できたつもりだし、誤解していた部分にも気づくことができた。とても分かりやすかった。何より、表紙カバーのそで部分に掲載されている本文からの抜粋(以下)がインパクトだった。
「参政権を放棄することこそ、民主主義国家に暮らしながら民主主義の精神に反する、一番の愚行」
この本により、政治についてもっと知りたくなったし、それは自分の今後のより良い投票行動につながるだろう。
おそらく誰もが小学校高学年頃から政治のことは学んできたと思うが、私の場合、「内閣」とか「衆議院」とかいうキーワードは憶えていても、それがどのような仕組みで成り立っているのか、ちゃんと分かっていなかった。あとはテレビなどで政治のニュースや国会シーンを目にしてきたが、それがどのような場面で何のためでどのような影響を及ぼすのか等、よく分からずに見ていたように今となっては思う。基本が分からないまま付け焼刃を集めても、いつまでも腑に落ちない。
この本を読んだからと言ってそれらを全て瞬時に理解できるようになるとは思わないが、読む前よりはだいぶ良くなったと思う。
これまでの自分の投票行動を振り返ることもできた。
世の中、仕組みをちゃんと分っていなくてもできることはたくさんあるし、それで問題ない場合も多い。特にユーザー側の立場では。
でも民主主義においては、市民が主権者であり、一人一人の一票がとても大事だ。その動機を支えるため、およびできるだけ良い判断をするためには、この本で述べられているような知識と理解はあったほうが遥かに良さそうだ。そのことは、良くわからないから投票しなかったという場合にも、よく分からないけど何となく投票してきたという場合にも、どちらに対しても有効な策ではないだろうか。
あと日本の憲法に関する問題についても興味深かった。
様々な国が、戦後に複数回の憲法改正しているにもかかわらず、日本は一度も改正していないとのこと。「憲法も、時代の変化に応じて変化してしかるべき」(P.119)にもかかわらず。
そこで思ったのが、憲法はコンピューターのOSに例えるとカーネルなんだな、ということ。カーネルは文字通り、OSの中核の部分だ。
憲法改正をOSのWindowsに例えると、Winows 1.0 からカーネルを一切変えないまま外回りのソフトウェアだけを発展させていって無理やり今のコンピューティングをさせているのと同じだろう。それでは無駄が多すぎるし、様々な不具合も放置されたままとなり、問題が多発してしまうだろう。カーネルさえ更新できるばできることなのにカーネルを更新できないからどうしてもできない、ということもたくさん出てくるだろう。
実際には、OSのサポートが続く限り、カーネルは慎重にも定期的にアップデートされ、時には抜本的なアップグレードも行われるのが普通だ。
まあコンピューターは進化は速いので比べるのはやや極端なのかもしれないが、イメージとしては間違ってはない気がする。