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グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー) [ フランシス・スコット・フィッツジェラルド ]
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★★★★
有名なアメリカの小説”The Great Gatsby” を、村上春樹が新たに翻訳した本。
1920年代のアメリカ、ニューヨーク郊外。主人公ニックは金持ちの隣人ギャツビーと知り合う。そして、ギャツビーと関わるその他の人々と共に、様々な思いが詰まった一夏を過ごすことになる。
これまで、”The Great Gatsby” に関わるものは、以前の翻訳の小説も映画も、一切触れたことがなかった。というか、ギャツビーと聞くとマンダムのギャツビーしか連想できないくらい、ほとんど何も知らなかった・・・。
でも読む機会に恵まれたので、読んでみた。
読んでいて、小説を読むということをとても楽しめたと思う。
この原作とこの翻訳版は、世の中でとても評価されている模様。
文学をものすごく深く味わえるほどの見識や感覚を持ち合わせていない私にとって、何がそこまでの評価を高めているのか、正直言ってよくわからない。
以前の翻訳版も原作も映画も見たことが無いし、同じ原作者の他の作品も読んだことないし、最近は小説そのものから離れていたので、他との比較すらほとんどできない。
それでも言えるのは、読んでいるとき、読むことや物語そのものを、充実感を持って楽しめたということ。それに、読み終わってからのなんとも言えない物悲しさというか悲哀というか郷愁感とか無常観みたいなのが心にあって、そういうなんとも言えない感じが心地よく残っている。
なので、その評価に値するもののうちほんの一片ならば、私でも味わうことができたのかな、と思う。
あと、あとがきに書かれていた通り、本編の話の舞台は1920年代ではあれど、「現代の物語」だと感じることができた。
むしろ、説明がなかった序盤を読んでいたときには、物語の時代設定がよく分からなかったくらい。
物語の本質を楽しむには、やはりそれがいいんだろうね。
読んでいる時と物語が書かれた時代との「時差」を楽しみたいという場合は、わざと古めかしい日本語を使ったほうがいいんだろうけど、それだと懐古的にはなれるかもしれないけど、本質を楽しめるかがわからないし。
その辺はトレードオフなんだろうけど、でもやっぱ本質重視の方がいいかも。
あと、翻訳を行った村上春樹氏の文体の良さというか何と言うか。私は他に『羊をめぐる冒険』しか読んだことないんだけど、これは村上春樹の文だ、というのが分かる感じの。
あと実はかなり面白かったのは、「訳者あとがき」の部分。あとがきなのに30ページ近くもあって、エッセイみたいな感じで楽しめた。正直、私にとっては本編と同じくらい面白かったかも・・・。
そういえば本筋とはずれるのかもしれんけど、序盤で気になったのは、第二章の最後でニックとミスタ・マッキーがいつの間にかベッドにいる描写・・・。はじめ、これは一体何?・・・という感じだったんだけど。まああれも物語のちょっとした刺激物なんだろうな。
あとは、ディカプリオの演技がけっこう好きなのもあり、最近の映画版も観てみたいと思った。
追記:
『グレート・ギャツビー』という名を初めて聞いたとき、男性用化粧品のギャツビーを思い浮かべたのは私だけではあるまい。