サウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)

【中古】サウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)

 

★★★★★

都会の中野が舞台だった上巻とは打って変わって、今度は田舎の西表島が舞台。

下巻の前半は、暖かくゆったりとした南の島の感じを味わえた。
ユイマールっていいなと思った。

後半は話が面白くて、熱中して一気に読んでしまった。

主人公の両親を通して、理想郷への強い憧れと、現代社会への風刺が描かれている。
同時に、上辺だけの主義主張への批判も少し。

アナーキズムや左翼寄りな思想とかってこういうものなのかと、主人公の父親を見て、ほんの少し勉強になった。

後半の父親の台詞と行動には、かなりの説得力がある。
それはアナーキズムや左翼思想についての説得力ではなく、自分自身で考え抜き、実行するための説得力。

ただ、子供を学校に行かせないってのはかわいそすぎるね。
前半は学校に行けなかった子供の寂しさも伝わってきて、やっぱ学校って大事だな!とも思った。
ただ、都会の学校と島の学校を対比することで、いじめや登校拒否とかの問題もまだ尚あるってことも、再認識させられた。

主人公は、下巻ではどんどん成長していってる。
こんなこと小学生が思うのかよ!みたいなところもあったけど。でもあの環境だと、大人びるのも早いのかも。

最後には、主人公の少年の中にも、自分自身で考え生きていこうとする決意が表れ始めてる。

最後のシーンは、ロード・オブ・ザ・リングでエルフが帰郷するシーンに、勝手に重ね合わせてしまった☆

あと、読んだあとにグーグルアースで西表島を見て、ここがウラビーチかな?とか勝手に想像してしまった★

小学生からの視点として語っていくことによって、より客観的な感じになってるのかな。とても読みやすかった。

思想的なことが色々と出てくるけど、元気な主人公や仲間たちと、美しい西表島の描写が、それを暖かく包み込んでくれてる感じ。だから尖った感じがしないのかも

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